【机上の空論】にどりやのメモ帳

世の中の現象や出来事は頭の中でも起きている。

杉田水脈の自然科学に基づく政治的主張について

杉田水脈LGBTは生産性がない」


これはどのような意図なのでしょうか?簡単なまとめによると、「LGBTは子供を作らない」「だから生産性がない」「故にLGBT支援に税金をかける事が疑問」というものだそうです。

さらにそれを裏付ける理論の一つとして、「男女で子供を産むのが自然の摂理」と主張していました。

この一連の主張が妥当なのかどうか考えてみました。

杉田理論の論点

杉田の主張の詳細は知りません。ただのヘイトである可能性もゼロではないのですが、おそらく最終的にはLGBTに関する税金の使われ方について論じたかったのだろうと思います。したがって「生産性と税金の使われ方」、「自然の摂理と税金の使われ方」が論点になるかと思います。

生産性と税金の使われ方

杉田によると税金は生産性のために使われるべきだそうです。もちろんここで言う生産性とは子供を産むことです。言い換えると「日本は常に人口を増やし続けるべきだ」ということです。労働人口が少ないと言われているので、それなら増やそうという考えもあるでしょうが人が多いからといって全ての生産性が上がる訳でもないので別に増やし続けなくてもいいのではないかと思います。


また男女平等の実現として内閣が推進している男女共同参画はどうでしょうか?男女の役割が均等化されるのですから「産む」という役割は薄れていきますがこれでは生産性は落ちてしまいます。このことについては少なくとも杉田は理解しているはずです。なぜなら杉田は「男女平等はあり得ない、男女別に役割がある」と言っていたからです。その男女共同参画に年間8兆~10兆円使われていますのでLGBTがどうとか言っている場合ではありません。

自然の摂理と税金の使われ方

LGBT支援の問題について杉田が打ち出したもう一つの理論が自然の摂理です。男女で惹かれあうのが自然とは言いますが、LGBTだって自然に生まれた存在です。自然に生まれた存在が自然の摂理に反するというのですからおかしな話です。それともLGBTが排除されるのも自然の摂理であって、それに従うべきだと言いたいのでしょうか?自然界にも同性愛は発生しますがだからといって排除される存在であるとは限りません。

 

そもそも税金は国民のために使われるものと思っていたのですが、自然の摂理に従わなければならないという考え方は斬新でした。税金自体が自然の摂理に反している気がしないでもないのですが…

 

自然科学に基づく政治的主張

杉田の主張は結論だけを見ればそれほどおかしくはなかったはずです。わざわざLGBTを特別に支援する必要はないだろうと思う人は多いでしょう。ですがそれはまさに思想の問題でしかありません。その思想を正当化(間違ってもいないが)するために科学的に説明しようとするからおかしくなったのです。

ナチスの優生思想にもつながりかねない」などという批判がありますがまさにその通りだと思います。ナチスの優生思想はそれを裏付けるために尤もらしい科学で説明しようとしました。杉田も同じように「生産性」、「自然の摂理」といった科学的な言葉を使って大衆を納得させようとしたのです。確かにLGBTには生産性はなく、そういう意味では自然の摂理に反しています。ただし自然の摂理の結果としてLGBTが生まれたという現実を無視しています。
このように現実を無視して頭の中で練りに練った、その頭の中では正しい理論を大衆に共有させようとしたのが杉田であり、優生思想を生み出したナチスでもあるのです。

頭の中だけで作られた理論を押し付けるなんて誠にけしからん事であります。